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シンプルでクリアな使命感でエコツーリズムをリードする【ケアンズ・スカイレール誕生秘話】

ケアンズを訪れる多くの人を惹き付けるスカイレール。ケアンズのエコツーリズムの歩みにも重なる、全長7.5km、熱帯雨林の真上を通るこのケーブルウェイの建設と発展の裏にある熱い想いを、創設者のケン・チャップマンさんに尋ねました。

ひとりでも、友達とでも、家族とでも楽しいスカイレールの乗り方や料金などのDATAは記事の下にまとめてあります。

 

熱帯雨林への愛情が全ての始まり

「樹をなるべく切らないでケーブルウェイを建設してほしい」。ブルドーザーで樹を切り倒す方法しかしたことのないヨーロッパの各社は、「無謀だ」と仕事を断った。

そう、スカイレールの始まりは決してスムーズとは言えないものだった…。

「僕たちの考えは、単なる交通手段を作るのではなくて、“熱帯雨林という貴重な自然環境を多くの人に体感してもらう”手段を作ること。最初からすごくシンプルでクリアだった

だから、森を守る=環境へのダメージを最小限に押さえた建設、というのは当然の、そして譲れない主張だったんだ。」

そもそもスカイレール建設のアイディアは、ケアンズで生まれ、熱帯雨林の中で育ち、仕事でも森に深く関わっていたケンさんのお父様から出たもの。

父ジョージさんは、当時は林業としての価値しかなかった熱帯雨林に対して並ならぬ愛情を持っていた。だから鉄道会社からキュランダとケアンズを結ぶ交通手段ができないか、と相談を持ちかけられた時に、熱帯雨林を「体験の場」として生かす道を選んだのだ。

 

ケン・チャップマン氏。後ろの写真に写っているのが、父でありスカイレールの創設者、ジョージ・チャップマン氏

 

ロンドンで医師として活躍していたケンさんは、たまたま故郷ケアンズを訪れていた時にこのコンセプトを聞き、「やろう」と即決。医師はすっぱり辞め、スカイレール建設に向けて動き出した。1987年のことだ。

当時は環境保護という概念は浸透しておらず、周りの反応は「理解できない」というものだったが、チャップマン一家に迷いはなかった。

 

森を生かすために、前代未聞の建設に挑む

壮大なコンセプトの実現に向けて動き出したケンさんらの前に立ちはだかったのは、実現可能性調査、環境への影響度に関する研究、レポート作成、専門家との検討作業、各政府への認可申請や地域住民への説明作業と、膨大な課題の数々。

 

ケーブルウェイをつなぐ支柱の建設場所については、ケーブルエンジニア、学者、そしてケンさん自らが、毎日キュランダへ向かう途中の見晴し台から森の中へ踏み入り、歩いて決めていったのだと言う。

支柱周り10m四方は樹を切らなければならない。そこで、樹の種類を丹念に調べ、ダメージが少ないルートを探ったのである。

 

「森には道なんてないから、道具を背負いながら歩くのは少し大変だったかな。環境を壊さないように靴も毎回消毒した」

 

さらに、支柱完成後は元どおり復元するという目標を掲げ、建設予定地の表面を覆う落葉や土壌を採集して保管。次に予定地から植物の種子を採取・分類し、工事期間中は別の場所で繁殖させておき、工事完了後は植物から落葉、表層の土壌に至るまで、すべてをもとの場所復元させたというからすごい。

 

建設現場。森へのダメージを減らす様々な工夫がこらされた。

 

支柱の土台造りは、ほとんど機械に頼らず、つるはしやシャベルを用いた。人家から離れた建設現場まで、作業員たちは道具を担いで片道1時間毎日歩いて森の中を通ったのだった。

 

そして、支柱の建設にはヘリコプターを使うという前代未聞の挑戦に挑んだ。建設資材、セメントなどの荷物をヘリコプターから100メートルの長さのロープでつり下げ、風圧で熱帯雨林の繊細な形状を損なわないよう配慮する徹底ぶり。

 

ヘリコプターのクルーは、無線などを利用し、目的地にピンポイントで着陸する離れ業を繰り返し、運搬だけでなく、ケーブルを同時に支柱間にかけて引っ張る作業を行った。

「ヘリコプターを飛ばす費用が1秒で$1.50。冷や汗ものの時間との闘いだった(笑)」とケンさん。

 

環境をほとんど破壊せずにケーブルウェイを作るというこの偉業は、世界初にして未だにどこででも行われていない。

 

サステイナブルな環境とビジネスのため常に前進

1995年8月、スカイレールはついに開通。準備から完成まで、実に7.5年という歳月を要した。

その後の躍進ぶりは周知の通りだ。持続可能な環境活動を常に向上させている団体に贈られる認定証Green Globeを観光アトラクションとして世界で初めて受賞するなど、国内外での受賞歴は枚挙にいとまがない。

 

「スカイレールでは、1人1人が常に真剣に、どうしたら向上できるか考えている。新入社員が入ると、僕は必ずスカイレールのビジョンや環境保護に関するレクチャーをする。熱帯雨林体験の場を提供することに対する想いをシェアするんだ。1人の頭から出るものは限られているけど、集まった時の知恵は素晴らしい。僕の仕事はパッションを伝え、皆を導くこと。あとはチームが情熱を持って仕事を遂行してくれる。」

 

結果、紙のリサイクルの徹底といったことから、乗客のCO2削減のためのインフラ作りまで、毎年、必ず何かが向上。

 

自社内のことに留まらず、熱帯雨林の研究と教育のための財団を設立するなど、その活動は年を追うごとに多くの人を巻き込み、深く、広くなってきている。素晴らしい自然を守るという1つの目的のために…。

 

未曾有の不景気と言われる現在、ケンさんの見解は力強い。「今は一時的に大変なだけ。ケアンズ=美しい大自然=エコツーリズムそのものだしオペレーター会社の意識も高い。ケアンズはオーストラリアのエコツーリズムの先導者であると信じています。」

 

周りを生かそう、と強くフォーカスした時に出てくる人間の智慧って何て深いんだろう、と感動しました。ビジョンをはっきり示したら、あとはスタッフを信じて任せる、という経営の仕方にも…。ケンさんの笑顔は曇りがくない。仕事とハートが1つ、使命を全うする人が発する光を感じました。分野、規模は違えど、ぶれのない使命感を持って努力し続けることの大切を学んだインタビューでした。

 

スカイレール 【Skyrail Rainforest Cableway】 Data

英国航空国際環境賞‐最優秀賞、EIBTM European Greening of Business Tourism Award「環境に対し最も配慮している観光施設」部門‐最優秀賞など受賞歴は枚挙にいとまがない 。名実ともに、ケアンズのエコツーリズムの先駆者であり、業界をリードしつづける。

ゴンドラはスキー場のリフトのように次々に来ます。途中に2駅あり、自由に下車できるので、ぜひ降りて周りの熱帯雨林を散策することをおすすめします。熱帯雨林館があったり、バロン滝の見晴し台なども。2駅とも降りて観光した場合、片道で約1.5時間くらいです。

日本語サイト

https://www.skyrail.com.au/ja

乗車券の買い方

旅行代理店で申込むか、直接オンライン予約(日本語です)、またターミナルのチケット売り場で購入も可能。予約することが推奨されてます。

底がガラスになっているダイヤモンドビューは予約時に指定します。

スカイレールへのアクセス

乗り場(スミスフィールドターミナル)は、ケアンズシティから車で15分くらい。こちらのサイトに行き方が詳しく載っています。ただ、自分で運転していく場合、車を駐車場に置いていくことになり、往復スカイレールということになります。帰りは観光鉄道にしたい場合、フレッシュウォーター駅で下車するのですが、スカイレールのターミナルまでは車がないと行けないので注意です。(下のマップの上のピンがスカイレール、下のピンが鉄道駅)
観光でいらっしゃる方は、ホテルまでの送迎付きを申込むか、下の表のスカイレール+列車のパッケージの3Dを選びましょう。

料金 (〜2017年3月31日)
スカイレール レインフォレスト ケーブルウェイ 大人 小人 家族
 1 片道スカイレール体験 $50.00 $25.00 $125.00
 2 往復スカイレール体験 $75.00 $37.50 $187.50
 2A – ケアンズ&ビーチ発 往復送迎付 $98.00 $49.00 $245.00
 2B – ポートダグラス発 往復送迎付 $122.00 $61.00 $305.00
オンライン予約

 

終点キュランダとケアンズ間を、片道スカイレール、片道を人気の観光鉄道にするパッケージも予約できます。

スカイレールと観光鉄道 大人 小人 家族
 3 片道スカイレール体験&片道キュランダ観光鉄道 *|*** $100.00 $50.00 $250.00
 3A – ケアンズ&ビーチ発 往復送迎付 $123.00 $61.50 $307.50
3B – ポートダグラス発 往復送迎付 $147.00 $73.50 $367.50
3C – ケアンズ&ビーチ発 片道送迎付 $111.50 $55.75 $278.75
3D – スミスフィールド/フレッシュウォーター間 片道送迎付** $109.50 $54.75 $273.75
ご注意:

* 観光鉄道を先にご利用になる場合、ご出発はフレッシュウォーター駅からのみとなります。

**3Dはご自分で運転される方のみ

ケアンズ観光スポット, 生き方