自然発酵で丁寧に抽出された、ケアンズ産バージンココナッツオイルができるまで。

わたし達は自然の中にいるとホッとして癒されるし、素晴らしいアートを見たり音楽を聴くと感動するし、美味しいものを食べると元気が出ます。

それは、発するもののエネルギーを受け取っているから。中でも飛び抜けて心を動かすのは、人から直接受けるエネルギーではないでしょうか。

モノには、作った人のエネルギーが映される。

そう思うから、私の店パウチでは、実際に作り手さんにお会いしてコンセプトや生き方に共感したモノを扱わせていただいています。

 

今日ご紹介する、ケアンズ産のココナッツオイル。

これこそ、作った方 〜 Kaiziの「穏やかだけど強くて大きいエネルギー」が詰まった製品です。

根底に流れているのは、伝統を守り、使う方の健康に役立ちたい、という愛。オイル自体も彼の想いもとても高純度。

日本でもココナッツオイルがブームになりましたが、流行なんてどこ吹く風とばかりに、淡々と昔ながらの「自然発酵法」でココナッツオイルを作り続ける作業場を、1年ぶりに訪ねました。

 

ケアンズから車で約1時間のブッシュの中。

Kaiziは、トレス海峡の島の出身(アイランダー)ですが、今はケアンズ高原マリーバに居を構えています。

島の伝統があちこちに見受けられる、おうち兼作業場。植物が大きく育つ、大らかな空間には、ホッとする空気が流れています。

じーっとこちらの話を聴く彼の眼差しは何とも深く。

ふっと「魂を感じてるんだよ。君の思考の後ろにあるもの」と言われてドキッとしました。

 

Kaiziのココナッツオイル作りは、ココナッツの実を集めに行くところから始まります。

広い敷地に住んでいるので、そこに樹を植えれば簡単なのに、彼は野生のココナッツを集めるために、わざわざデインツリーに近い海岸線まで降りて行く。

在るものを有り難く使わせてもらうのが、わしらのやり方だから」。

いかに効率良く稼ぐか。。プランテーションを作ってどんどん生産しよう。そんな風潮とは真逆の考え方です。

実を集める前は「人々に役立つ善きことのために使わせてもらいます」とお祈りを捧げ、実を採るために樹を傷付けることはしない、と教えてくれました。

 

 

手で集める訳だから、採れる量も決まっているけれど、たくさん採ろうという気は最初からなく、「一定の大きさの実しか採らないし、必要以上の数も採らない」

それは、野生のココナッツが減らないための配慮。

自然と共生する、人間の欲から離れた穏やかな在り方に心が洗われる想いで、一言一言を聴く私。。

 

オイル作りに必要な分のココナッツを集め、トラックに積んで数時間の道のりを帰ってきた後に待っているのは、殻をむく作業です。

この作業も1つづつ手で行っているんですよ。こんな風に。↓

 

 

動画では簡単に見えるけど、殻はかなり堅い!この作業を1000回近く繰り返す。

気が遠くなるような作業ですが、自分がやっていることが大好きだから苦にならないとKaizi 。

 

殻が剥かれたココナッツに穴を開けて、「ほら」と手渡してくれた実にストローを差していただいたココナッツウォーターは、新鮮そのもの、すっきり飲み易くて、乾いていた喉が潤いました。

「前にストローを用意するのを忘れてしまったんだけど、Kaiziは庭から植物の茎を折ってきて見事なストローにしたのよ」と奥様のニッキー。

「何でも自然の中にあるのさ」とKaiziがいたずらっぽく笑います。

 

ニッキーも、同世代の女性として尊敬する存在。ロンドン出身にして、アイランダーの文化をしっかりと受け継ぎ、ペーパーワークや交渉をこなしてKaiziを影で支える姿が美しい。ココナッツオイルのラベルの絵も彼女の手描きなんですよ!

 

殻から取り出されたココナッツは、しばらく直射日光を避けながら保管します。オイル作りにふさわしい実かどうかは触れればわかるというKaizi。

(若い実は、ココナッツウォーターが豊富ですが、熟すにつれて胚乳部分が固まって、オイルが採れるようになります)

自分の名前を冠にしたオイルを作るのだから、責任を持たなければ、とどの行程にも手抜きはありません。

 

 

いよいよ実を割るという日は、朝4時くらいから作業を始めるそう。

お手製の簡単な器械を使って、割った実の中から胚乳を削り出し、そこからミルクをしぼり出す作業が午後過ぎまで延々と続きます。

(大量生産できるため、高温をかけて圧搾するメーカーが多い中、Kaiziが取っている生のココナッツを使う方法をWet Millingと呼びます)

 

絞り出されたミルク状の液体は、しばらくねかして発酵するのを待ちます。

発酵させることで酵素が活性化し、ココナッツの栄養分が守られるとともに、善玉菌が生まれるとのこと。

だから、ピュアなオイルは整腸作用もあるし、スキンケアにもとても良いんですね。

(私はこの数年、化粧水も乳液も使わず、このオイル1本です。メイク落としや大人のニキビ対策に使うリピーターさんもいらっしゃいます)

 

酸敗しないよう、発酵までの過程は常にココナッツの様子を見ながら。

Kaiziは、実を集めるときに「善き目的のために使わせてください」とココナッツの樹に祈ると書きましたが、その祈りは、全プロセスを通してココナッツを大切に扱うという一貫した姿勢に現れています。

 

そして、ココナッツミルク状の液体が発酵したところで、最低限の熱を加えて水分を飛ばします。

「ここが最もデリケートな作業だね。経験がものを言う。火にかけながら、表面に上がって来るあぶくを注意深く見るんだ。熱し過ぎないようにね」

高温をかければ簡単に大量のオイルが採れるけれど、栄養分は飛んでしまう。

Kaiziは、全工程で温度管理をしているから、栄養素が一番自然に近いという、コールドプレスで得られるメリットを最大限に活かすことができるのです。

水分を飛ばしたオイルは濾過され、5リットルの容器に入れて更に4週間ほど置いて、純度の高いオイルの部分だけをようやくボトリング。

大量生産はできない、心のこもったオイルはこうして出来上がります。

 

さり気なくすくってくれた果肉も甘くて美味でした!ほんとに捨てるところがまったくない恵みの樹ですね。

 

「今の人たちは、急いで学ぼうとガツガツし過ぎだ。焦らずゆっくりでいいんだよ。わしらの言葉では、Gabu Gabuって言うんだ。Keiko, Gabu Gabuを忘れるな」

。。大切にしたいことを真ん中に据え、他を削ぎ落したシンプルな彼の在り方が、心に響いた1日でした。

 

 

Kaiziさんの想いがつまった貴重なココナッツオイル。フィリピンやタイなどが有名な中で、伝統的な製法を守る、オーストラリア産のココナッツオイルも試してみてはいかがでしょうか?パウチ店頭またはウェブサイトからお求めいただけます。ココナッツオイルが入った手作り石けんも人気です。

 

Kaiziのココナッツオイルは自然発酵法で作られていますが、他にも製法があります。参考までに載せておきますね。

ココナッツオイルの種類

大別すると、精製ココナッツオイルとバージンココナッツオイルの2種類

精製ココナッツオイルは、科学物質を作って作られたもの。Refined(精製)、Bleached(漂白) 、Deodorized(脱臭)されている。無味無臭なので様々な料理に使いやすく、長期保存可能。市販のクッキング用ココナッツオイルはこのタイプが多い。
一方で、ヴァージンココナッツオイルは化学物質を一切使用しない製法で作られています。

 

ココナッツオイルの製法いろいろ

●化学物質を使っている→ RBD(精製)オイル:栄養素が減る。化学物質が入る。

●化学物質を使っていない→ ヴァージンココナッツオイル。製法は次の3種類があります。

【熱で乾燥させたもの】

❶エクスペラー製法:ココナッツの果肉を熱風で乾燥させて、圧搾する製法。製造効率が良く一般的。温風または熱風で栄養素が飛ぶ。水分を取り除いて圧搾するため品質が安定。低温圧搾の場合とそうでない場合がある。

【熱を加えずに生のまま加工したもの】

❷発酵分離法:栄養素が一番自然に近くて高い。味が濃い。低温圧搾。

❸遠心分離法:栄養素は二番目に自然に近い。劣化しやすい。さっぱりしている。低温圧搾。

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