作り手さんを訪ねる旅 in ケアンズ〜オーストラリア産スーパーフードの果樹園へ
2017/01/16 ケアンズ・ソウルジャーニー
オーストラリアの先住民アボリジニが長い間食してきた自然の恵み「ブッシュタッカー」(「ブッシュフード」)。
中でも、フルーツなどの植物が オーストラリアが誇るスーパーフードという謳い文句で注目を集め出しています。
スーパーフードの定義
- 栄養バランスに優れ、一般的な食品より栄養価が高い食品であること。あるいは、ある一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品であること。
- 一般的な食品とサプリメントの中間にくるような存在で、料理の食材としての用途と健康食品としての用途をあわせもつ。
http://www.superfoods.or.jp/
そんなスーパーフード:ケアンズ高原に昔から生育する、ネイティブフルーツの果樹園を訪ねました。
ギリースハイウェイを上り、ケアンズからたった1時間で標高1000m以上の別世界へ。
途中で、大好きなスポット「カセドラルフィグ」に寄りました。
この大木は、名前の通り聖堂のようで、当たり一帯も神聖で清らかで優しい雰囲気。鳥のさえずりがこだまして、異空間にいるような心地よさ。
森の中でゆっくりした後、昔ながらの建物が残るヤンガバラ村を散策&可愛いカフェでランチをして、目的地であるマンガリへ向かいました。
高原を走ること45分。バイオダイナミック農法で有名なマンガリクリークのミルク工場を過ぎて、もうすぐ果樹園。。というところで興奮のひとこま!
何と野生のキャソワリ(火喰い鳥)が悠々と道を歩いているところに遭遇したんです。
私ケアンズに25年くらい住んでいますが、野生のを見るのは初めて。背丈は2m以上あるように見えました。雨に濡れたせいか、光っていて美しい。。
興奮冷めやらぬ間に、目的地に到着。敷地がとてつもなく広いので、主のピーターが入口にお迎えに来てくれました。このゲートから果樹園までの距離は何と2km !
4DWでしか行くことができないアップダウンの道を進み、途中野生の動物や飼っている牛さんが見えたり、ジャングル、農地と変わりゆく景色にアドベンチャー気分が盛り上がります。
この広い敷地を切り盛りするのは、ピーター&マーゴご夫妻。たった2人で土地を整備し、果樹園作りを進めたというから驚きです。
最初にトライしたエキゾチックフルーツがうまく育たず、どうしようかと考えていた2人。
「ある時、エスノ・ボタニスト(Ethnobotanist:人や文化と植物の関わりの研究者)と一緒に仕事をしたのね。彼と車で話していたら、そうだネイティブの果物を育てればいいんだわ、って全てがつながった」とマーゴ。
アボリジニの文化遺産と環境管理に携わっていた彼女は、クイーンズランド州中のアボリジニの人々と会っていたため、ブッシュフードのことを知っていたのです。
元々この土地で育っていたフルーツなら、外来種として環境を壊すこともなく、農薬も必要ない。
望んでいた 持続可能な農業というコンセプトにもピッタリでした。
2000年、2人は1000本の苗木を植え、サイクロンの被害などにあいながらも果樹園づくりに精を出します。今回見せていただいたのは、そんな背景を持つ植物たち。
あいにくこの日は、ざんざん降りの雨でしたが、晴れの日は遠くの丘も見渡せるとてもきれいな場所。
澄んだ空気が美味しい。
どんな風に実がなっているか、いつごろ収穫するのかなど、樹の前でお話を聞きながら試食させていただきます。
こちらはレモンアスペン。強い柑橘系の香りがします。とても小さな実ですが、かじってみるとレモンとグレープフルーツが混ざったような。。かなりの酸っぱさ!!たった100gで、大きなレモン約6個分の果汁やゼストが取れるそう。
レモンの変わりにお菓子作りに使ったりします。
そして、深紅色の果実のデビッドソンプラム。細かい毛で覆われているので、うっかり触らない方が良いようです。これも。。すっごく酸っぱい!ので、ジャムにしたり加工されることが多いです。ふるまっていただいた、デビッドソンプラムのアイスティーは、色もキレイですっきりした味でした。(酸っぱいけど、美容に良さそう)
スーパーフードと呼ぶにふさわしい、このフルーツの栄養素については以前書きましたので、興味がありましたらご覧ください。(抗酸化作用でいうと、ブルーベリーの3倍近くもあります)
中がピンクのつぶつぶになっているフィンガーライムは、プチプチした食感とグレープフルーツのような味でリフレッシング!トゲがあるので、収穫は少し大変だそうです。
写真左が、フィンガーライム。サラダに入れたり、色がきれいなのでカクテルに入れたりと、アイディア次第で用途が広がります。
右はオーストラリアンライチー。こちらは、食べ易い味でした。
果樹園の散策が終わった後は、マーゴお手製のソースやチャツネ、ジャム、そしてお菓子によるティータイム。
自分の果樹園で採れたフルーツを使ったジャムやソースはどれも美味。チーズやパンに塗ったりして美味しくいただきました。(乳製品との相性がいいものが多いそう)
右は、レモンアスペンを練り込み、トップにデビッドソンプラムを使ったんだチーズケーキ。デビッドソンプラムは色が鮮やかなのでお菓子にしても生えますね。深みがあって、とても美味しかったです。
1920年代に建てられたという趣のあるコテージのバルコニーでいただいたアフタヌーンティーは、お2人が結婚20周年記念に、念願の日本を旅したときの話などで盛り上がり、とても楽しいひとときに。
私が素敵だなあと思うのは、彼等の「地に足が着いた」生き方。やるべきことを淡々と真摯にこなし、次のステージへ上がっていく姿。そして、全てを受け入れる広くて大きな心。
伝統をつないでいくこと、環境を壊さない農業、ネイティブフルーツを広めるための加工品造り。。
全てが自然や人へのリスペクトという基盤に基づいて、
静かで力強い輪を描いている。
こんな風に美しく展開していくのが、”人として” 働くということかなって思う。私も彼等に会うたびに、真ん中に戻ってしっかり立とうという気持ちになります。
今日の小旅行は、マーゴが作るデビッドソンプラムパウダーのファンの1人だったMoekoさんの「日本に帰る前に作り手さんに会いたい」という希望で実現しました。
販売するときは、栄養価のことや使い方の話しかしないのですが、実際に作っている方に会うと、また味わいが変わるのではないかと思います。
今後パウチで売っているモノの背後にあるストーリーを、こんな形で実際に体験していただくツアーを作っていきます。
モノに詰まっている想い、作り手さんの生き方から、それぞれが違う何かを受け取って、その方の関わる世界の中で循環していったら素敵。
私には彼等の「在り方」そのものが響いたけれど、一緒に行った方は「素材を最大限に生かす食の仕事」について考えていらしたし、同じ体験をしても皆違う。だから面白い。
ツアーの企画は、そんな「それぞれの世界に、素敵な化学反応を起こす」体験の場にしたい、と考えています!