ケアンズから1泊2日の小旅行〜ローラの壁画にて
2015/06/29 アボリジニの聖地・教え
そこでは、人は地球の一部だという、厳かで謙虚な感覚が空気中に漂っていました。
褐色の肌をした人達が、大地から取れた染料で岩に描いたもの。
それは、食べ物の在り処や、歴史的なできごとといった、現実的な情報だけではなかった気がします。
何万年もの間、少しづつ描き足されていった壁画の場所は、まるで礼拝堂のように神聖でした。
きっと、描くことが祈りだった。
観る人は、昔々、確かにここに生きていた人々と交信し、
大地と、スピリットと、ご先祖さまを感じ、
自分のアイデンティティを思い出すためにここを訪れた。
壁画の前に設えられた椅子に腰掛けて、乾いた風の中で、そんな空想をしました。
頭で解読できる情報でなく、
心で読み取ることが課された壁画。
部族の中で選ばれし人が絵を描き、そしてその絵が意とすることを伝承する語り部も選ばれた人だったといいます。
本当に大切なことを語り継ぐために、アボリジニの人達は、あえて文字を作らなかった、のかもしれません。
砂埃が舞う舗装されていない大地を歩いて、真っ青な空を見上げて、今、何者でもない自分がここに立っている。と実感できたことは、かけがえのない体験でした。
日本人であるとか、色んな条件を持っていなかったころの自分。。
そう、赤茶けた大地にすっくりと育つ木や、何万年もの間、静かに佇んでいる岩と同じ、「命」。
簡素で、美しい旅でした。
私が好きな、はせくらみゆきさんという画家の方のブログに「2015年、これからの三年間は、個人から世界レベルまで、今後の方向性を見定めていくうえで、とても大切な時期になります。とりわけ今年の夏至は、自身が望むタイムラインをしっかりと選択し、 不要なものは切り捨て、身も心も清々しくリセット&リバースして、 新たなる思いでスタートを切るには、最適な日となります。」 とありました。夏至の日に、この体験ができたこと、改めて感謝します。
この壁画がある村、Laura(ローラ)について
Laura(ローラ)までは、ケアンズから北西へ車で4時間弱。行き方は2通りあります。
1.Mareeba経由(315km)
舗装されているので普通車でもOK.
2. Coastal Rd経由Bloomfield Track (336km)
Daintree、Cape Tribulationという熱帯雨林地区を抜ける方法で、120km近くオフロードなので、4WDがおすすめ。5時間近くかかります。雨期は難しい。
ローラは、人口200人強というとても小さな村落。キャンプもできますが、今回はこぎれいな地元のモーテルに泊まり、そこから車で30分ほどかけて壁画へ向かいました。今回訪れたのはSplit Rockというサイト。推定4万年前から描かれ始めたという岩絵が丘一面に点々と残っています。村内にある観光センターQuincan & Regional Cultural Centreは、壁画のこと、周辺地域の歴史など興味深い展示があり、一見の価値あり。ちょっとしたお土産も売っています。