光は闇から生まれる
2020/05/28 幸せのヒント
MasterChef Australiaという番組が好きで、よく見ています。毎回お題が出されて創作料理や、再現料理を作り、勝ち抜いていくリアリティショー。
ミステリーBOXと呼ばれる日は、箱を開けて入っている材料でお料理を創る日。食材を見ても何のイメージも沸かず、毎回冷蔵庫の前で固まっている私には、魔法にしか見えません(笑)
昨日のミステリーBOXは、箱を開けたら食材でなく、参加者の子どもの時の写真が入っていました。(こういう企画を考えるプロデューサーすごい!)
お題は、思い出から得たインスピレーションを表現しなさい、というもの。
写真を見て、涙ぐむ参加者がいました。
「僕の一家はベトナムからの難民で、この写真はオーストラリアに入国できた頃のものだ。2才だったから覚えてないけど。今の自分があるのは、この環境と、苦労を重ねた両親のおかげ」
ご両親がインドネシアから移住したというもう1人の方は、写真を見ながら
「正直いって、ハッピーな思い出じゃない。両親は、自営していたレストランの経営で朝から晩まで働き通しで、自分も夜遅くまでそこにいた。そのレストランは閉業に追い込まれた」
(海外との行き来も、情報のやり取りもお手軽でなかった当時の苦労は計り知れません。私が来た30年前も振り返ると何だかんだ大変でした)
色んな想いが去来したのか、彼も涙ぐんでいて、私も。。
それぞれの参加者が、感謝、愛、辛かったこと、悲しかったこと、楽しかったこと。。感情に向き合って60分で仕上げた一皿は、画面越しでも十分感動的で。
真のクリエイティビティってこれだ、と思った。
感情はエネルギーだと聞いたことがあります。
水車が水の動きからエネルギーを作る(発電する)のと同じで、心の動きは、私たちを動かす原動力になる。
この日、ジャッジによって上位4品が選ばれる予定だったのですが、どれも甲乙つけがたかったようで5品に。
選ばれたうちの2品は、先述の移民を親に持つ人たちが創ったものでした。
悲しみ、苦しみを感謝に昇華した、過去へのオマージュ。それらの味、テクニック、プレゼンテーション、全てがジャッジを唸らせた。
この時、思い出してたんです。
光は闇から生まれる
ということ。
ワクワク楽しい昼間には、星の輝きが見えません。
漆黒の夜空に一人たたずむからこそ、感じる境地があります。
暗く、沈静に潜った中で見上げる希望の光は、一段と眩しく、強く、有難い。
それは、何かを為す原動力であり、また人の心を打つクリエイティビティの源泉でもあります。
そう、人生の辛い出来事は、私たちが放つ光を、より遠くへ届けてくれるエネルギーなんです。
この番組では、お料理を通して、光が見える化されました。
本来は誰もがアーティスト。
闇と感じる過去が、透明なエネルギーに変換された時、お互いがインスピレーションの光になります。
自分の人生を受け入れること、つまり「感謝」が変換装置。
痛みを伴っても、感情に向き合う。
そして「あの過去があったからこそ、今の私がいる」と。
闇がギフトだったと心底思えた時、見える世界も、生み出すものも変わる。
そう思っています。
私自身は、2011年に一気に色んなことが起きてパニック障害になって、少しづつ立ち直る過程で、コアに被さっていた皮が数枚めくれた。
渦中は、辛すぎてとてもギフトだなんて思えなかったけど、「起きたことは引き受ける」とその時、覚悟を決めました。それは将来に対しても同じです。
世界同時に体験している、パンデミックという闇が、いつか「あの時があったから、こんな風に変われたんだよね」と穏やかに言える日が来ると良いですね。。