未来の世界と、過去の日本
2020/08/22 やまと精神
「本当だったら、今ごろケアンズ便に乗るために、家族で空港にいるところでした。。」とLINEをいただきました。まさか自由に行来できない日が来るなんて、今年の初めは想像すらしなかったですよね。
乾季(5〜10月)の予定がすべて白紙になったお陰で?YouTubeを見るようになりました。
その中で大感動したのが ねずさんこと小名木善行氏の「明治150年 真の日本の姿」というシリーズです。
小名木氏の肩書きは国史啓蒙家。
今の日本をつくってきた先人たちの「スピリット」にスポットライトを当て、史実に息吹を吹き込み、自分もそのドラマの一員であるかのように耳を傾けてしまう語り部でいらっしゃいます。
人々の人生が、想いが歴史を作ってきたことを心で観じ、自然と感謝と誇りが立ち上がるようなお話の数々。
お恥ずかしいことに、知らないことばかりでした。
動画を見てご自分で感じていただくのが一番ですが(シリーズ一気に見ました。お勧めします)、私が特に考えさせられたこと。
それは、「共に生きる」在り方です。
今年はパンデミックという未曾有の体験を通して、不安と混乱が広がりました。
同時に、健康や環境問題、働き方etc. 様々なことを見つめ直す動きが出ていますよね。これから地球がどの方向に進むかは、個人がキーを握っていると言えるでしょう。
個人が1本の樹だとしたら、その根っこを支える大地の大切さは言わずもがな。
根っこは日本人であるというアイデンティティ、大地は日本という国です。
いえ、世界が同時に痛みを共有している今、私たちを支える大地は「地球」と捉えたい。
根っこがしっかりしている人は、何があっても強い。
それは、アボリジニやアイランダーの人々と一緒にいる時によく感じます。彼らが名乗るときは、必ず「○族の」と言います。
自分がどこに属している、という意識はその人の血肉を作り、自分が根を張る大地へのリスペクトと責任感、そして共存共栄という感覚を生みます。
戦前までの日本には、それがありました。
前から不思議に思っていた「通貨があったにも関わらず、なぜ武士のお給料も税金もお米だったのか。」の答えが「自然災害の多い日本において、いざという時、庶民の暮らしを備蓄米(御蔵米)で助けるため」だと小名木氏の動画で知りました。
武士でさえ、新米を食べることはなかったそうです。
根底に、「庶民が安心安全に暮らせるように全力を尽くすのが、上に立つ者の役目」という意識があったから。
仕えさせて、自分は私腹を肥やす。そんな大名はいなかったのが日本という国だったのです。
お米は、せいぜい4−5年しか蓄えることができません。
けれども、小判を経済の中心にすると、お金持ちだけが占領してしまう。
マルコポーロが黄金の国ジパングと呼び、庶民でさえ小判(金)を持っていたにも関わらず、日本は貨幣を経済の中心とすることを避け、みんなで頑張って働いて、みんなの共有財産としてお米を蓄えました。
(明治以降、西洋に合わせて納税はお金に変わり、外国の資本が入った金融分野(日本銀行)が儲かる形式になっていきましたが。。)
この思想の大元は、古事記に記されている世界観。
「権威」と「権力」を分けたことにあります。
政治に口を出さない天皇がおいでになり、その下にまつりごとをする人々がおり、その下に国民がいる。
けれども国民は、しもべではなく、天皇の「おおみたから(大御宝)」として、大切に扱われる存在。
金銀財宝や建造物や宗教ではなく、日本にとっては「人が一番の宝」だったのです。
素晴らしいと思いませんか?
「あなたは宝物だよ」と言われて育ったら、その子はどんなに 伸び伸びと花開くことでしょうか。
為すべきことを全うできるのは、安らぎの大地が受け止めてくれるからです。強制などしなくても、宝として扱ってくれる親のことを尊敬するに違いありません。静かな威厳は「愛」が形を変えたもの。
大きな大きな慈悲のもとで、それぞれが自分の役割に精を出す。
そんな秩序が自然と何千年も保たれてきた。
日本は、本来そういう国なのです。
戦後、そのスピリットは忘れ去られてしまったけれど、まだ欠けらは脈づいています。
人生の半分以上オーストラリアで暮らしていると、日本にいたら当然過ぎて気づかないであろう美徳が見えるんです。
「私さえよければ良い」という行動を取る人が少ないこと。公共のものを破損する人がほとんどいないこと。規則があれば従うこと。バッグを置いたまま席を立っても大丈夫なこと。。まだまだたくさんの。
ジョンレノンは、イマジンという曲で
「欲張ったり飢えることも無い。
人々がみんな兄弟で。みんなが分かち合う世界」を描きました。
それは夢の世界じゃありません。私たちの先人は、何千年に渡って「人を宝」とみなす国を築き上げてきたのですから。
人に上下はない。あるのは役割の違いだけ。
お互いの命を祝福しあい、生かしあう。
そんな、謙虚で凛とした在り方こそが、世界平和に通ずる道ではないでしょうか。
気づいたこの瞬間から 日本に流れてきた美徳を、「日常」で体現していきましょう。
選民意識とか優劣の話ではなく。
国という概念を超えて、いま私たちが所属している 地球のために。
小名木善行氏ブログ
動画一覧
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