ケアンズから訪ねたアボリジニの聖地 Kija〜「大地に流れる歌が聞こえるか?」〜

まったく人気のない森の中を歩く。聞こえてくるのは鳥の声と川のせせらぎ。目に入るのは草、踏みならされていない地面、ユーカリの樹、岩…。

そっと佇む。耳を澄ます。すると、大地の「命」が、静かに、でも確かに語りかけてきた。

 

 

 

ここは、Dumu Baja。当地の先住民アボリジニ、Kuku Yalanji族の人々の言葉で「自分の中の深い場所〜魂を感じる場所」。何万年という気が遠くなるような歳月、敬意を払いながら彼等が訪れてきた特別な場所である。

 

自分の魂を感じる〜CJはその感覚をこう説明した。

「宇宙が自分の中に広がる。智慧は限りないと感じる。何かを見ながら、その後ろに本物が観える。自分とつながると、他の誰も、どんな状況も貴方のその神聖な領域を犯せなくなる」。

 

 

 

続けて、リズミカルな自分の言葉で「初めてここを訪れる友人を連れて来た。あなた方には何の危害も加えない。どうぞ彼等をこの地に入らせて下さい」とスピリットに挨拶し、そっと樹の皮をはいで、火を焚いた。私たちは輪になり、全身に煙を浴びる。身を清めるために。

 

空気が変わった。静謐な、厳かな、でも温かい空気。

 

 

しばらく歩くと、何とも清らかな水の流れが目の前に広がった。そっと手を入れてみると、水はひんやりと冷たく、軟らかく、驚くほどに“美しい”。

大きくてなめらかなラインを讃える岩々がその美しい流れの下にそっと、力強く横たわり、後ろにきらめく日射しを浴びた緑の葉が揺れている。

 

私たちは、もうしばらく歩いた。森の樹がなくなり、CJが立ち止まったのは大きな岩場で、切り立つ滝がまさにここから流れ落ちる、という場所だった。

 

この滝はKija(Moon Dreaming Place)。女性が創造された地と信じられ、Kuku Yalanji族の女性にとって特別な意味を持つ聖地なのだった。

 

 

 

訪れさせてくれて有り難う、感謝の気持ちが沸き上がる。私たちは大きく平らな岩の上に横たわった。CJの手がチャクラの上をそっとすべっていく。

 

果てしない青空にはゆったりと流れる雲。澄み切った空気と平和と静寂を味わう。なだらかで優雅、けれども力強く水しぶきをあげる滝から、慈悲と受け入れの感覚が静かに伝わる。

 

起き上がって、滝が流れ落ちる先に目をやると、遠く遠くまで視界が広がり、空、山、大地、川、すべてがつながった。何と言う美しさ。何と言う優しさ。

 

CJは言う。「大地に流れる歌が聞こえるか?」

 

 

「川は、体の中を流れる血液と同じ。脈打ちながら巡り、すべてがつながる。大地は人と同じ。生きているんだ。そして、途方もなくインテリジェントだ。人間が大地を所有してるんじゃない。大地が我々を所有してるんだ。」

 

私のチャクラを流れて循環するエネルギーと、大地に流れる歌が、共鳴を始めた。

 

 

 

アボリジニの聖地・教え

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