新型コロナウィルスの影響を受けての決断とこれから。
2020/05/20 ショップ (パウチ) 裏話&商品
先週末からオーストラリアでは様々な規制が緩和され、シティに賑わいが戻ってきました。
まだまだ元どおりとは言えないけれど、空気はポジティブ。テレビでは頻繁に「ローカルビジネスをサポートしよう」というCMが流れ、クイーンズランド州は早くも国内観光客に向けて宣伝を始めています。
その一つの理由は、政府が迅速に動いたこと。
早くからロックダウンして、外出規制に罰金を設けるなど厳しく取り締まった一方で、売上が前年度30%減の企業の従業員、個人事業主「全員」に2週間に1度、1500ドルを支給することを約束。何とか倒産を抑えようとする姿勢が明らかでした。生活援助を受けていた人の受給額も増額されたようです。
厳しいけど、当面生きてはいける。その安心感は大きいと思います。
ただ、現在出ているビジネス支援金がいつまで続くか分からないので、いま方針を決める時。
積極的にできることをする、撤退する、耐える。。のいずれかを選択する必要があります。
私が運営しているショップは、お客様のほとんどが日本からの観光の方だったので、休業状態。旅の仕事も、今年の予約はもちろん全てキャンセルです。
ブランディングツールの製作だとかセッションなど、前から家でマイペースで仕事してきたのでライフスタイルは変わってなくて、
むしろローカルに目が向き始めたことが嬉しかったり(ずっとケアンズならではにこだわって、ローカルビジネスとコラボしてきたので)、長い目で見たら環境にとって良い動きだなと。
でも、そろそろ、ショップの家賃etc、固定費を止血しないとまずいと思い始めました。
年末に、オープニングのお祝いにタイル作家の友人がプレゼントしてくれた、11(ショップ番号)というプレートがハプニングで割れたんですね。
接着剤でできる限り修復してくれたし、モノはいつか壊れるので、それ自体は何ともないんだけど、2012年の開店以来ずっと店頭を飾ってきたものだったので、「あ、パウチは今まで通りじゃなくなるんだな」と感じました。
こういう形で来るとは夢にも思わなかったけど。。
私どうしたいのかな、と考えたんですよ。
期間は分からないけど、観光の方が戻って来るまで待つのか。地元の方向けに売るものを再考して、宣伝するのか。クローズするのか。
2012年のオープン時は「人と人、人とモノ、人とケアンズをつなぐハッピー空間」をコンセプトに、ケアンズの素晴らしさを、物品を通してお伝えしようと奔走しました。
当時は、地元産の良いモノは、郊外で行われる週末や月一のマーケットでしか手に入らなかったので、自分でセレクトしたモノをギュッと集めたい!と思ったんですね。
ケアンズは大自然が豊かだから、質の良い農作物をアレンジしたモノや、大らかなライフスタイルを楽しむ人たちが作ったユニークな作品が色々ありました。
インテリアも、所有していたファームの古い馬小屋から扉を持ってきたり、天井板を外してテーブルにしたり。
子ども達も巻き込んで、知り合いの大工さんの力も借りて、楽しく作りました。
フォトグラファーをしているオージーの友人が、たまたま前を通りかかって「なんて素敵なの!写真撮らせて!記事も書かせて!」と、感激するぐらいおしゃれにブログで紹介してくれて。
インテリアはShabby Chicと表現してくれました。
思えば、すぐに地元の新聞やニュースで取り上げてくれたり、何か流れに乗ってましたね。
全てが手探りだったけど、作り手さんに会いに行ったり、会いにきてくれたり、地球の歩き方さん、ララチッタさん、ARUCOさん、他 様々なガイドブックが取り上げてくださったお陰で、日本からもお客様が来てくださって。
小さなお店だけど、とても豊かな時間をいただきました。
数年すると、地元産のモノを扱うお店が増え、専門店もできました。
ケアンズの良いモノを広めたいっていう願い、ハッピー空間を創るっていう願い、2つとも叶っちゃった。
加えて、店の中でじーっとしているのが次第に辛くなって、自由になりたくて、2015年の年末に閉店を決意。
ところが、思いがけない展開で、ネイリストの美鈴さんとの出会いがあり、協働スタイルで、リニューアルスタートを切ることになって、現在に至ります。
ジュエラーのタカさんも中に工房を構えることになり、ハルミさんが週に何度かボウエンセラピーしてくださったり、自然と「美&癒しの空間」色が益々濃くなっていきました。
でも、4年前に私の初心は達成してたんですよね。
このパンデミックが収まった後、新たな息吹を吹き込みたいか?
決断のポイントはここだったんです。
私の答えは、もういいかな でした。
ある週末、美鈴さん、タカさんと率直に話しあいました。
結果、ショップの空間は残すことに。
皆が想いと願いを交換して、新しいアイディアが出てきて、ソロバンもはじいて。。残したいと思ってもらえるような空間なんだなと分かって嬉しかったし、生み出した者として責任を感じたし、思いやりあって、素敵な人たちだなあと感動して。
その代わり、パウチとしての品揃えはグッと減らして、私はさらに自由な時間をいただくことになりました。
今後は、賞味期限のある食品の扱いはやめて、ユーカリやココナッツなど地元産のオイルや、原産フルーツパウダー、自然由来のバスソルトなど、ケアンズ産の「Beauty」に特化したモノと、いくつかの雑貨だけを扱うことになります。
今までしたことないんだけど、初めてセールのコーナーを作りました。
もう、作り手さんとやり取りすることはなくなっちゃうんだな、と思うと切なかったです。ほとんどが農家さんで、自分たちで作物の加工品を作ってらっしゃる方たち。
自慢気に、どんな風に作ってるか、どんな料理に使うといいかなどなど、お話してくださるのを聞くのがとても好きでした。
「ごめん、今年はあまり採れなかったから、いつ届けられるか分からない」なんて言われたりして、最初の頃は、スーパーで買い物することが当たり前だった私はびっくりしたものです。
私のお店が貢献できたことは、数字的には本当に小さいけど、彼らのスピリットを伝えたいと言う気持ちは大きかった。
食べ物はローカルの方が消費すると思うので、おそらくビジネスがつぶれることはないでしょう。それを切に願ってます。
「命をつなぐ食の場を創る」。。と言う、私の次なる夢がいつか実現した時、また取引ができたらいいな。
今度は売るだけでなく、実際に召し上がっていただくとう形で。
実は、話し合いのあと、善は急げと店内の模様がえをし(予期せぬ展開!)、翌日から3日近く寝込みました。(これも予期せぬ出来事。。年に1度くらいこのデトックスがやってきます)
何も食べられなくて、病み上がりに初めて口にしたいと思ったのは、ケアンズ産のオーガニックティーとケアンズ産のバイオダイナミック農法のミルク。そして同じくケアンズ産のはちみつ。
口にするものは大事だなあと、体調が復活してつくづく感じています。
ビジネスも、人間と一緒。デトックスしたり、循環を良くするためにエクササイズしたり、スタイルを変えたり、季節のリズムに合わせて静かにしたり、元気に飛び出したり。
「生まれたら、いつかこの世から形はなくなる」というサイクルを、自身の素直な感覚を羅針盤にして、進むしかありません。
パンデミックという流れの中で下す私たちの決断が、空高く舞い上がった時に、美しく見えるものでありますように。